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09.27.09:12

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  • 09/27/09:12

08.19.12:48

甘い飼育



 まるで少女のように白い肌。少し長い茶髪はピンと真っ直ぐで、瞳には吸い込まれそうなアッシュグレーのカラーコンタクト。薄暗く狭い会場のステージには、仄かな照明で彼の姿が浮かぶ。ひと言ひと言、紡ぐよう丁寧に曲を歌い上げながら、彼は客席に微笑みを浮かべた。柵にもたれる数人の、本物の少女達は、ひと時も彼から目を離さず彼に笑顔を向けていた。くるくると巻いた髪からは、時々、甘い香水の香りが漂ってきた。

「お疲れ様ですぅ」
「これ差し入れと手紙です!」
「今日も最高でした~」

ステージから降りた彼に、少女達は駆け寄った。少女達の甘い香りが強くなった。しかし、嫌な匂いでは無い。

「ありがとう」

彼が人形のように微笑みを浮かべると、少女達は喜んだ。彼は差し入れと称されたプレゼントの封をその場で開け、気に入ったものだけを取り出し、「これ、好き」と笑ってみせた。少女達は一瞬、目の色を変えた。

「エムシー面白かったですー」
「そういえば、ブログで…~~」
「次のライブも楽しみにしてます」

少し話をした後、少女達は去って行った。少女達はおのおの頭の中で何かを考えているため、表情がどこか上の空だった。

「またね」


少女達の背中に、彼は微笑みを浮かべた。




『甘い飼育』
(text 服部 YU里江)

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